歯科
〒173-0026 東京都板橋区中丸町44-7 ライオンズマンション板橋中丸町101
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歯科
口の中のトラブルは比較的お家でも見つけやすい病気です。原因は様々ですが、歯肉炎、歯周病、口腔内の腫瘍などがあります。腫瘍の場合、CT撮影が必要となることがあります。
3才以上の犬・猫の80%以上が歯周病を持っていると言われています。
当院では、歯周病でお悩みの飼い主様達に、必要な検査を行い最適な治療をご提供できるよう最新の設備を整えております。気になる症状があれば、まずはお気軽にご相談ください。
歯の病気で、見た目ではそんなに汚れていないからうちの子は歯が健康と思われる方が多く見受けられます。歯周病は歯垢の中の細菌が歯の表面に付着し歯周組織に炎症を引き起こす病気です。
歯垢は食べカスや被毛などがたまり出来上がります。歯肉に炎症をおこしたものを歯肉炎と言います。これを放おっておくと病気が進行し、歯肉以外の組織にも炎症は拡がり、これを歯周炎と言い、これらを総称して歯周病といいます。
歯周病が進行すると化膿が広がり、例えば眼の下が腫れるあるいは眼の下の皮膚炎を繰り返すという状態になるかもしれません。これらを根尖膿瘍と言います。
こうなると歯の痛みや違和感により、歯磨きが今までできていたのに出来なくなった、ドライフードが食べられないあるいは食べにくくなった、おもちゃで遊ばなくなったというような症状が出てきます。 根尖膿瘍の場合、抗生物質の投与により一時的に腫れが引いたりすることはありますが、治すためには歯を抜くしかありません。
歯周病は放っておくと顎の骨がどんどん溶かされていき、最終的には顎の骨が折れてしまう可能性もあります。
口臭のチェック
まずは口臭のチェックをします。歯周病は細菌による感染症です。進行すると細菌が口臭物質を出します。口臭が気になり出したら、一度受診していただくことをお勧めします。
レントゲン検査
レントゲン検査で顎の骨が溶けていないかを確認します。
プローブ検査
歯周ポケットの深さを測る検査です。レントゲン検査で歯周病の進行具合を把握しますが、動物の歯は根っこが3つある歯も中にはあります。どこか一つでも穴の深さが深い場合は抜歯の対象となります。
治療は基本的には全身麻酔下で行います。歯周ポケットもなく歯石除去のみの場合は、汚れを取り除き仕上げにポリッシング(研磨)を行い全身麻酔下での治療は終了です。歯に動揺がみられる、歯周ポケットが深い、あるいは根尖膿瘍などを起こしている場合は、抜歯が必要となります。
当院治療例:15才 ジャックラッセルテリア
術前
歯石付着、歯周炎のほか右下顎犬歯の歯肉にはポリープの形成が認められました。
術後
歯石の除去とポリッシングを行いました。
おやつとして与えた蹄や骨などで歯が欠けたり、折れたりすることがよくあります。折れた位置によって歯髄の感染を起こし、歯根部に炎症を引き起こして痛みや腫れの原因となります。
診断には視診やプロービング、歯科用レントゲン検査などを実施します。治療は大きく2つです。1つは折れた歯を抜歯してしまうことです。すでに歯根部の炎症が重度の場合などに適応になります。2つめは保存修復といい、いわゆる詰め物を利用して歯を温存する方法です。
歯を抜かなくてよいメリットがありますが、人の歯医者さんと同じ器具や機材をそろえておかなければ実施することはできませんし、処置のためのトレーニングも必要です。当院では専用の歯科用ユニットや歯科用レントゲンを使用して、これらの処置を実施しています。
術前
第四前臼歯破折 欠けた歯が浮き上がっています。
術後
抜歯による治療を実施しました。
これは歯周病とは区別され、猫特有の口腔内の炎症を指します。歯肉炎などの歯周炎のほか、口峡部といわれる上顎と下顎の付け根の部分に炎症がみられるものを歯肉口内炎といいます。症状は口を痛がったり、悪臭のあるよだれが多くなり、食事を食べることができなくなります。ただし、食欲低下をきたす他疾患との鑑別も重要です。
治療法としては、大きく内科的治療と外科的治療に分けられます。ステロイドを中心とする抗炎症療法により、炎症及び疼痛の緩和を図りますが、これにより治癒することはほとんどありません。根治を期待できるのは、全臼歯抜歯などの外科療法になります。6~8割程度の症例で改善がみられます。
術前
上顎と下顎の境界に重度の炎症がみられます。
術後
全臼歯抜歯直後。1ヶ月程度で改善がみられました。
犬における口腔内の悪性腫瘍で、多い順番は以下の通りです。
猫における口腔内の悪性腫瘍で、多い順番は以下の通りです。
このように、犬と猫で発生しやすい口腔内の悪性腫瘍は異なります。
基本的にこれらの悪性腫瘍は、流涎、口からの出血、口臭、食べ方の変化、体重減少などの症状が見られます。悪性腫瘍は近くのリンパ節に転移し、例えば顎の下が腫れたり、首のところが腫れてきたりします。またメラノーマは高確率で肺に転移します。そのため呼吸困難などの症状が見られる場合があります。
これらの腫瘍を把握するためには血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行っていきます。また、腫瘍の進行度合いを把握するには、CTなどの画像診断が必要になることがあります。
口腔内腫瘍の治療としては、内服薬などの内科的治療はほとんど効果を期待できません。そのため、根治が狙えれば外科的治療が第一選択となります。悪性の場合、しこりそのものだけの切除は再発リスクが極めて高く、再発すればより悪性度の高いものになっていく可能性があります。従って、初回の手術で可能な限り拡大して切除することが重要です。
その目的の達成のためには、顎の骨の切除が必要になることも多くあります。骨を切除するような大きな手術でも動物はうまくその状態に適応し、食事や飲水に大きな支障をきたすことは比較的少ないです。悪性の場合は、術後も定期的な検診が必要です。
また、あまり口の中を見せてくれない動物、きわめて進行の早い悪性腫瘍や腫瘍の発生部位によっては切除不可能となることもあります。最近では、このようなケースに放射線治療を適応とすることも増えてきています。
左下顎扁平上皮癌、左側半分の下顎を切除しましたが、翌日から食事が可能でした。(個体差がありますので、すべてがこの限りではありません)
本来、永久歯の萌出とともに脱落すべき乳歯が残存してしまう状態です。この場合、乳歯と永久歯が口の中に存在することになるため、歯同士が接近することによって不正咬合や歯周病の原因となります。
治療は当然ながら乳歯の抜歯です。ただし、すでに咬み合わせに異常をきたしている場合は、歯科矯正などの治療が必要となるケースがあります。乳歯が抜けて歯並びが形成される生後5から6ヶ月くらいの時期は特に注意が必要で、この時点で異常があれば外科的手術による矯正も可能です。
術前
下顎の永久犬歯が内側に萌出し、このままでは上顎を損傷する危険があります。乳歯を楔として永久歯内側に挿入し、外科的矯正を実施しました。
術後1ヶ月
下顎犬歯は第3切歯と犬歯の間の正常咬合位置に矯正されました。