整形外科|中丸町どうぶつ病院|大山、要町、池袋の動物病院|土日診療

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整形外科

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以下の症状がある方は一度、ご相談ください

  • 歩き方がおかしい
  • 足を引きずっている
  • 散歩の距離が短くなった
  • ジャンプしない
  • 帰宅後のお出迎えをしなくなった
  • 体や関節に触られるのを嫌がる など

整形外科で診る代表的な病気

骨折

原因

当院で診察する骨折の原因は、室内での落下等による事故が多くを占めています。飼い主さんの膝の上から飛び降りただけでも骨折してしまうなどということもあります。特に1歳以下の動物は骨が軟らかいことや、成長中に存在する骨端板もあるため、骨折を起こしやすくなっていますのでより注意が必要です。

診断

視診、触診のほか、レントゲン検査が決め手になります。

治療

骨折治療には様々な選択肢がありますが、当院ではプレート法による固定を選択することがほとんどです。プレート法の利点は固定強度が高く、ギプスなどの外固定はほとんど必要ないため、術後管理においても飼い主さんの負担が少なくなることがあげられます。

当院の治療例

橈尺骨骨折①

治橈尺骨骨折①(術前)

術前

橈尺骨骨折①(術後)

術後

橈尺骨骨折②

橈尺骨骨折②(術前)

術前

橈尺骨骨折②(術後)

術後

脛骨近位骨端板および近位骨幹部骨折

脛骨近位骨端板および近位骨幹部骨折(術前)

術前

脛骨近位骨端板および近位骨幹部骨折(術後)

術後

股関節脱臼

原因

落下や交通事故などの股関節に対する強い外力や負荷がかかった時、先天的な股関節の形態異常による関節の緩みなどによって発症します。

症状

通常、脱臼した側の後肢は完全に挙上し、重度の痛みがみられます。一方で、明らかな症状を伴わず、他疾患のレントゲン撮影時などに偶発的に脱臼が認められる症例がいます。

診断

視診、触診、レントゲンにより診断します。よくみられる股関節脱臼のタイプは前背側脱臼と言われる大腿骨頭が骨盤の上に外れてしまうものです。

治療

内科的治療と外科的治療があります。急性発症例であれば、一般的には全身麻酔下で徒手整復を試みます。整復後は包帯による固定が実施されることが多いですが、動物にとって非常にストレスが大きく、皮膚損傷などの合併症が多いこと、しかも成功率が低いなどの理由から、近年は外固定を推奨しない文献もあるようです。

経験的にも包帯固定はデメリットばかりであるため、当院では基本的に実施せず、徒手整復後はケージ内の安静のみで経過観察します。再発すれば外科的整復術を行います。

外科的治療には複数の方法が報告されており、いずれも長所短所あります。当院では主にトグルピンと言われる内固定法を実施しております。この方法は術後の機能回復が早いですが、その分逆に安静にできなくなると緩みや再脱臼の原因ともなりますので注意が必要です。

症例1 前背側脱臼

症例1 前背側脱臼(術前)

術前

症例1 前背側脱臼(術後)

術後

症例2 腹側脱臼

症例2 腹側脱臼(術前)

術前

症例2 腹側脱臼(術後)

術後

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨が大腿骨遠位の滑車溝から内方または外方に転位する状態です。膝蓋骨は溝の上で滑車の役割をしており、膝を伸ばすときに筋肉の力を有効に伝えるという働きをしています。そのため、膝蓋骨脱臼では脱臼の痛みだけでなく、膝関節がしっかりと使えないなどの機能的な問題も起きてしまいます。

原因

先天性・発育性(多い)

大腿骨の形成異常や関節の異常などにより、膝蓋骨脱臼が生まれつき、もしくは生後早期に生じます。早期の脱臼により骨の形成異常が生じた場合には非常に重度となります。

後天性(少ない)

外傷性ともいわれ、膝に異常な力がかかることによって脱臼を生じます。

症状

急性の脱臼では痛みを示し、肢を挙げるような歩行異常が見られることがあります。慢性の脱臼では、脱臼の重症度や骨変形の程度によって異なり、スキップのような一時的な歩行異常や、持続的な歩行異常、肢を完全に挙げるような歩行異常など様々です。

治療せず放置しておくと、度重なる負荷によって、膝関節の骨格が変形し、重度の変形につながった場合には、膝関節では上手に体重が支えられず、他の関節にも余計な負担が生じてしまい、痛めてしまうリスクがあります。

診断

身体検査およびレントゲン検査により膝蓋骨の内方あるいは外方への脱臼を確認します。他の疾患との鑑別や骨変形の程度、関節炎などの検出のためにもレントゲン検査は重要です。これらの検査所見より、グレード分類を実施することで治療法選択の目安としています。

グレード1膝関節の伸展時に徒手にて膝蓋骨を滑車溝から脱臼させることができるが、指を離すとすぐ滑車溝内に戻る。

グレード2膝関節の伸展時に徒手にて膝蓋骨を容易に脱臼させることができるが、指を離してもすぐには滑車溝内には戻らない。脛骨の内転・外転させると容易に膝蓋骨を脱臼・整復できる場合が多い。

グレード3膝蓋骨は常に脱臼しており、徒手にて整復が可能であるが、指を離すとすぐにまた脱臼してしまう。

グレード4膝蓋骨は常に脱臼しており、徒手にて滑車溝内に整復するのが不可能である。脛骨のねじれなど、骨格に形態学的な異常の認められる場合がある。重症例では膝関節の伸展機構が破綻しており、膝関節を自力で伸展することができない。

治療

年齢、脱臼の程度、症状や進行具合など様々なことを考慮して治療方針を決める必要がありますのでご相談ください。

内科療法

痛み止めやサプリメント、運動制限、減量などにより痛みの緩和を目的に行います。根本的な構造の異常に手を加えるのではなく、疾患と付き合いながら、どのような生活の質を保っていくかということに焦点をあわせます。比較的軽度な脱臼の子が対象となり、通常の歩行が難しいほど重度な症状では内科療法は困難なことが多いです。

外科療法

一般的には、膝蓋骨がしっかりと滑車溝に収まるように溝を形成し、大腿部の筋肉と膝関節の動きが真っ直ぐになるように再建することで脱臼の整復を行います。これにより膝関節を正常な状態に近づけ、機能的に回復させることが目的です。当院では複数の手術手技を個々の症例に合わせて選択することで良好な結果を得ています。

当院の治療例

膝蓋骨内方脱臼①(グレード3)

備考:チワワ

膝蓋骨内方脱臼①(グレード3)(術前)

術前

膝蓋骨内方脱臼①(グレード3)(術後)

膝蓋骨内方脱臼①(グレード3)(術後)

術後

前十字靭帯断裂

十字靭帯は大腿骨と脛骨(すねの骨)をつなぐ靭帯で2本あります。この2本を前十字靭帯、後十字靭帯と呼び膝を安定化させる靭帯です。犬は前十字靭帯の損傷をすることが多く、切れることで膝の安定性が失われ、痛みや違和感により歩行異常がみられます。

原因

外傷性(少ない)

膝が過剰に伸びたり、ねじれたりすることによって靭帯に異常な力がかかった場合特に多いのが急なジャンプやターンなどです。

変性性(多い)

加齢などにより靭帯そのものの強度が低下してしまった場合、明らかな外傷歴もなく突発的に発症することが多いため注意が必要です。加齢以外にも、ホルモン異常や免疫異常、他の関節疾患などに関連して発症していることがありますので全身的なチェックが必要です。

症状

前十字靱帯が切れた直後は強い痛みがあり、患肢を挙げたままになります。触ろうとするだけで怒ることもあります。小型犬では数日すると痛みが軽減し、通常時は足を着けるようになることもありますが、運動時にはまたびっこや挙げたままの状態になってしまうことが多いです。

肥満や大型犬の子では症状はより顕著になります。切れたまま時間が経つと関節炎などで関節が腫れることも少なくありません。

前十字靭帯断裂を放置していると膝関節に負担がかかり続け、骨同士のクッションをする半月板が損傷を起こしたり、関節炎を引き起こしたりして、より重度の障害につながります。また逆足への負担が大きくなるため、逆足も前十字靭帯断裂を起こしてしまうこともあります。

診断

触診などの整形外科学的検査およびⅩ線検査により診断を行います。特徴的な整形学的検査として、脛骨前方引き出し徴候・脛骨圧迫試験といった膝関節の前方への不安定性を検査する方法があります。

ただし、慢性症例では膝関節周囲が固まってしまい前方への不安定が不明瞭な場合がありますので、診断には詳細な身体検査が必要です。

治療

超小型犬を除き、前十字靭帯の治療には外科手術が必要で、手術によりぐらぐらになった膝を安定化させます。様々な手術方法が報告されていますが、安定した成績を残している代表的なものは主に2つであり、関節外法とTPLO法(脛骨高平部水平化骨切り術)と呼ばれるものです。